【メイトコラム】#5 僕が海外で学んだこと。コミュニケーションに必要なのは『完璧でいない』こと。のアイキャッチ

【メイトコラム】#5 僕が海外で学んだこと。コミュニケーションに必要なのは『完璧でいない』こと。

編集スタッフ:Lina
メイト:Dennis

ランカルには多くの個性豊かなメイトが在籍しています。
彼ら、彼女らは自分の国を離れて遥々日本にやってきましたが、その生き方にどんな想いを抱えているのでしょうか。
メイトの数だけ理由も違う、それでもその根底を探れば何か共通点が見つかる気がします。

さて、今回のシリーズの始まりは陽気でとてもフレンドリーな、日本の東京出身のメイト、Dennis。
日本人メイトは数少ないですが、彼の英語はネイティブそのものと言えるほど。
なんと彼は英語だけではなくロシア語も話せるトリリンガルなんだそうです。

バレエダンサーとして活躍している最中、コロナの影響で東京に帰ってくることに。
彼の海外での多くの経験、そこから感じたものについて話してくれました。

ダイバーシティがくれた自分の居場所

Dennis :
「15歳で日本を出てから、ロシアで2年間、ドイツで約1年間。
その後は色々な国を転々としていながら過ごしていたよ。
一番思い出深い国といえば、2ヶ月ほど住んでいたトロントかな。
街は綺麗だし、みんな良い人だし、犬だって良い子なんだよ。
トロントはダイバーシティの国だから、僕自身も孤立を感じることはなかったかな。
他の国はどこへ行こうと必ず『外国人』というレッテルを貼られて見られている気がして、社会から孤立しているような気持ちになるんだ。
でもトロントでは違ったんだ。

アメリカではボストンに住んでいたんだけど、僕の大学は電車で1時間くらいの郊外にあったんだよ。
とても小さな大学で、現地の学生と話す機会はあまりなかったんだ。
それに孤立していると感じていたせいで、僕は国際留学生とばかり一緒にいたからね。
もしNYやLAに住んでいたら感じ方は違っていたかもしれないけど、とにかくいつも『日本人』というフィルター越しに見られている気がしたんだ。
でもトロントはたった1ヶ月しかいなかったのに、いつでも初対面で聞かれることは “What’s your name?” それだけ。」

誰にも譲れない強い気持ちが僕を動かした

Dennis :
「正直言って、2年前までは全く話せなかったんだ。
僕が話せた英語といえば、他のみんなが知っているような基本的な会話文だけ、 “Hello.” “How are you?” とかね。
はっきり言って当時はクラスの中でも最下位だったと思うよ。
でもそこに住んでいるんだから、英語を話さなきゃってアメリカにいるときに思ったんだ。
それからはできるだけ日本の友達と過ごさないようにしたり、日本人同士でも英語を使うようにしたよ。

僕はトリリンガルだけど、第2カ国語の習得は第3カ国語の習得にとても役に立ったよ。
だって同じ方法で学習すれば良いだけだからね。
最初に習得したロシア語なんて 「こんにちは」と「さようなら」しか知らなかったんだから、それと比べたら英語は比較的に早く習得できたと思う。

もちろん失敗もたくさんしたよ。
ロシア語での返事の仕方が分からなくて友達に聞いたんだけど、冗談で変なことを教わっちゃって、散々だったよ。(笑)
でもそのときも気づかされたんだ、僕に必要なことは語学を習得することなんだって。
もちろん僕はバレエが目的でロシアへ行ったけど、言葉が分かろうとしなければそれ以上の経験はできないと感じたんだ。

コミュニケーションが取れるようになったのは3ヶ月くらい経ってからかな。
独学で勉強することが多かったけど、それをできるだけアウトプットするように心がけたんだ。
最初はクラスメートと出掛けても何一つ理解できなかったけど、それでも彼らの会話を聞くためにそこにいることに努めたよ。
楽しくないときだってあった、何も理解できなくて無視されたこともあった。
15歳なんてまだまだ子どもだから、からかわれたり笑い者にするにはぴったりだったんだ。
それでも僕はロシア語を話せるようになりたかった、それだけが僕の背中をいつも支えてくれて、結果的に早く習得することができたんだと思うよ。」

完璧じゃなくていい、想いが誰かに届くなら

Dennis :
「僕は今大学で心理学を学んでいるよ。
バレエをしていた間はいつも好きなことができるわけじゃなかったからこそ、今は自分の好きなことをしたいんだ。
心理学はすごく興味深くて、例えば同じ経験をみんながしていても、見方や感じ方は人それぞれの気持ち次第でしょ?

 

“the most important thing when it comes to learning language is to be able to communicate with other people.”(Dennis)

 

バレエだって語学学習だって、ゴールを設定するってことは同じだと思う。
でも、語学学習が唯一他と違うことは、一人じゃ絶対にできないってことかな。
一人で家で勉強したり本で勉強することは、少しは助けになるかもしれない。
でも一番大切なことは、『他者とコミュニケーションが取れるかどうか』だと思うんだ。
これはみんなに覚えていて欲しい。
日本人の英語学習者は、英語をただ勉強すれば良いものと思ってしまいがちだと思うけど、英語はテスト勉強のための『何か』ではなく、誰かと会話とするための『コミュニケーションツール』なんだよ。

 

“If you want to learn a language, don’t try to be perfect. Even if you are Japanese, you will never speak perfect Japanese. If you can’t achieve perfection in your own language, then of course you can’t expect to be perfect in English right?” (Dennis)

 

一つ伝えるとしたら、完璧を目指さないでってことかな。
日本人だってみんながみんな完璧な日本語を話せるわけじゃないんだから、英語だって完璧である必要はないでしょ?
時々、話す前に完璧でいようと考えすぎてしまう人がいるけど、それが話すこと自体にシャイになったり嫌な気持ちになってしまう原因だと思うんだ。
これって悪循環だよね。

 

“As long as you can convey your thoughts to other people, I think it’s wonderful.”(Dennis)

 

他の誰かに自分の思いを伝えられる限り、それって素晴らしいことだと思うんだ。
たとえ発音や文法が間違っていたって、想いが誰かに届くなら素敵なことだよね。
新しいことを学ぼうとする時って、必ず誰かがからかったり嫌なことを言われたりするものだけど、そんなことで落ち込まないでほしい。
自分の努力を見てくれている人は必ずいる、頑張るあなたを受け入れ興味を持ってくれる優しい人は必ずいるんだ。
彼らはきっと困っているときに助けになってくれるはずだよ。
そんな人たちを大切にすることができたら、もっと世界は広がっていくと思うんだ。」

 

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彼の陽気な性格や誰にでもオープンな姿勢は、海外での経験が与えてくれたものなのかもしれません。

一筋縄ではいかなくても、自分の気持ちでまっすぐでいること。
いびつでもいいから、誰かと繋がろうとすること。
彼の放つ言葉には強さと温かさを感じました。

「英語でコミュニケーションがしたいけど、うまく一歩が踏み出せない。」
「始めたけど自分の英語力に自信がなくて話すのが怖くなってきた」
そんなふうに思っている人々の心に彼の言葉が届くといいなと思います。